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ころ、次のようなコメントが得られた。
「外見から日本人客を他の極東からの客と区別することは不可能」(ナショナル・トラスト、ヒルトップ管理者、旧住民)、「日本人客は質が良く、トラブルはない」(World of Beatrix Potter管理者)。また、ホテル経営者は「日本人向けの接待トレーニングを実施している」「確かに観光客数は増えた。ピーク時は日本人で埋め尽くされることもあるが、我々としては全ての客を平等に歓迎している」「数は多くないが、市場にとっては大きな存在」等、いずれも日本人観光客の来訪に対応していこうとする姿勢をもっており、増加することを不快視してはいない(表−7)。

表−7:日本人に対するコメント一覧

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出典:ヒアリングをもとに作成

 

3)観光が地域住民に与える影響の課題
地域住民のうち、旧住民には観光が自分たちの生活に不可欠な産業であることを自覚している者が多く、オーバーユースによって観光が地域に影響を及ぼしていることは認めるが、それを非難することもできない様子が浮かび上がる。
さらに日本人についても、数が増えていることは事実であるが、市場にとって大きな存在であり、客質は悪くないため柔軟に対応していこうとしている。なおヒアリング結果によれば、観光に携わっていない者にとっては『日本人を他の東洋人から区別すること自体が困難』との発言がある。
4)湖水地方における観光客の課題総括
以上から、湖水地方で、交通網と施設の収容力が実際の観光客数とかみ合わなくなり、過剰入込という現象を招いていること、従って観光客のコントロールが必要になってきているのは事実であるが、必ずしも功を奏しているわけではないこと、一方、過剰入込に対して日本人だけが特別な役割を演じているとは考えにくい、ということが明らかとなった。
また日本人については、旅行業者を利用した通過型の集団による旅行形態が目立ってしまうこと、それらのツアーが地域の白然を楽しむことを目的としているものではないことが指摘されたが、それゆえに日本人を排斥しようとする動きは見受けられないことも明らかである。

 

 

 

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